広島・長崎への原爆投下は「核実験」だったのか? アメリカ政府はそう言った

アメリカが日本に原爆を投下したとき、
20万人以上が亡くなった。
何十年もの間、それらは "核実験 "とされてきた。

著:ノーマン・ソロモン
2023年8月6日
https://www.salon.com/2023/08/06/were-the-hiroshima-and-nagasaki-bombings-nuclear-tests-the-us-government-said-so/

1980年、私が米国エネルギー省の報道部に
核爆弾実験のリストを送ってくれるよう
頼んだところ、エネルギー省は
 "Announced United States Nuclear Tests, July 1945 Through December 1979 "
というタイトルの公式小冊子を郵送してきた。

予想通り、ニューメキシコでの
トリニティ実験がリストのトップにあった。
第2位は1945年8月6日の広島原爆投下。
第3位は3日後の長崎原爆投下である。

つまり、これらの
日本の都市への原爆投下から35年後、
エネルギー省(核兵器を担当する機関)は
これらを "実験 "と分類していたのである。

その後、この分類は変更された。
明らかに、潜在的な広報上の問題を
回避するためであった。

1994年までに、同じ文書の新版は、
広島と長崎への原爆投下は、
「兵器が設計通りに機能することを証明するため
......あるいは兵器の設計を進歩させるため、
兵器の効果を判定するため、
兵器の安全性を検証するために
実施されたという意味での
 "実験 "ではなかった。」と説明した。

しかし、広島と長崎への原爆投下は、実際にはさまざまな意味で実験だった。

マンハッタン計画の責任者であった
レスリー・グローブズ元帥はこう回想している:

「原爆の効果を正確に評価するためには、
原爆投下地点が
空襲で破壊されていないことが必要だった。
また、爆弾の威力を
より確実に決定するために、
最初の標的は、
被害がその中に限定されるような
大きさであることが望まれた。」

マンハッタン計画の物理学者
デビッド・H・フリッシュは、
米軍の戦略家たちが
「政治的に効果的であるだけでなく、
技術的にも測定可能な場所で
最初に爆弾を使用する」ことを
熱望していたことを覚えている。

1945年7月16日、
ニューメキシコの砂漠で
プルトニウム核分裂源とする
トリニティ爆弾の実験が行われた後、
8月初旬には、
大都市への影響を測定するため、
広島でウランを燃料とする爆弾、
長崎でプルトニウムを燃料とする
爆弾の実験が行われた。

ハリー・トルーマン大統領が
広島への原爆投下を発表する声明を
発表したときから、
核の時代に関する社会的な議論が始まった。

それは明らかな嘘であった。
日本への原爆投下に関する
研究の第一人者である
ジャーナリストのグレッグ・ミッチェルは、
こう指摘している:

広島は "陸軍基地 "ではなく、
35万人の都市だった。
広島には重要な軍司令部があったが、
原爆は都市の中心部、
それも工業地帯から遠く離れた場所を
狙って投下された。」

ミッチェルは、
「おそらく1万人の軍人が原爆で命を失ったが、
広島で亡くなった12万5千人の死者の
大部分は女性と子供だっただろう」
と付け加えた。
その3日後、長崎に原爆が落ちたとき、
"公式には『海軍基地』と説明されたが、
9万人の死者のうち軍人は
200人にも満たなかった。"

それ以来、歴代大統領は無謀な核政策に
美辞麗句でカモフラージュを施し
世界的な大惨事を招く
サイコロを振るのが常となっている。

近年、ワシントンの指導者たちによる
最も陰湿な嘘は、
沈黙とともにもたらされた。

核戦争の悪化する危険性を認めず、
真の外交をもって対処することも拒否した。
これらの危険は、
原子力科学者会報の終末時計の針を、
破滅的な真夜中まで
あと90秒という前代未聞のところまで
押し上げている。

2022年2月のロシアによる
無慈悲なウクライナ侵攻は、
核戦争の可能性を一気にエスカレートさせた。

バイデン大統領の対応は、
侵略のわずか数日後に行われた
一般教書演説を皮切りに、
そうでないふりをすることだった。

その長い演説には、
核兵器や核戦争の危険性など、
そのような懸念については
一言も含まれていなかった。

今日、ロシアとアメリカの
一部のエリート界隈では、
「戦術」核兵器の使用という
常態化した話が狂気の度を増している。

ウクライナ戦争で
核兵器を使用するかもしれないという、
ロシア政府高官からの
無責任なコメントを読むと衝撃を受ける。

このドクトリンは、
現在進行中のアメリカの戦略ドクトリンと
基本的に同じものであり、
指導者が軍事衝突で劣勢に立たされたと
判断した場合、
核兵器の先制使用のオプションを
保持することを公言している。

ダニエル・エルズバーグは、
2017年に出版した著書
ドゥームズデイ・マシン』の終わり近くで
こう書いている:

歴史的な、あるいは現在の
核政策についての典型的な議論や
分析に欠けているもの、
つまり見過ごされているものは、
議論されていることが目眩がするほど
非常識で非道徳的であるという認識である:

ほとんど計算不可能で、
想像を絶する破壊力と意図的な殺人行為、
危険を冒して計画された
破壊力と宣言された目的
または認識されていない目的との不釣り合い、
密かに追求された目的
(米国と同盟国への損害限定、
両面核戦争における「勝利」)
の実現不可能性、
(法、正義、犯罪に関する通常のビジョンを爆発させるほどの)犯罪性、
知恵や思いやりの欠如、罪深さと悪。

ダニエルは、この本を 
"人類の未来のために闘う人々に捧げる。"とした。

同様のメッセージは、
1947年にアルベルト・アインシュタイン
「原子エネルギーの解放」について
書いたときにも発せられ、
「狭いナショナリズムという時代遅れの概念」
に警告を発し、こう宣言した:
「秘密もなければ防御もない。
世界中の人々の喚起された理解と主張以外には、
制御の可能性はない。」

ノーマン・ソロモン
RootsAction 共同設立者、Institute for Public Accuracy 創設ディレクター。
著書に『War Made Easy: How Presidents and Pundits Keep Spinning Us to Death』『War Made Invisible:How America Hides the Human Toll of Its Military Machine "などがある。